Mies Blochが生み出した図案の大半は、オランダの生活に根ざしたものばかりです。
この「黄金の馬車」もその中の一つ。
オランダに住んでいる人なら誰でも、この作品を見たらすぐに「あぁ、あれね」と分かるくらい、今でも普通にオランダで目にする光景です。
オランダには毎年9月の第3火曜日に、Prinsjesdag(プリンシェスダフ)と呼ばれる行事があります。
オランダは9月からその年の国会が始まるのですが、初議会日にはオランダ国王が国会開会宣言を行います。
当日、国王夫妻は黄金の馬車に乗って、ノールドアインデ宮(Paleis Noordeinde)からビネンホフ(Binnenhof)の国会議事堂まで向かいます。
この作品は、そのビネンホフへと向かう馬車パレードの様子を描いたものです。
去年のパレードの様子がユーチューブに上がっていたので、参考までに…。
Mies Blochが『黄金の馬車』の図案を発表した頃と全く変わらない光景ですね。
今も昔も、毎年9月第3火曜日のデン・ハーグ市内は馬車パレードを見学する市民で賑わいます。テレビ中継もされるので、この時期にオランダを訪れる際にはぜひ注目していただきたい行事です。
さて、Mies Blochの『黄金の馬車』。細部に渡って、街並みや人々の様子が生き生きと描かれていて、実に魅力的です。
「赤、白、青」が横に並んでいるオランダの国旗を振っている子どもたち。
今現在のオランダ王室は、Huis Oranje-Nassau(オラニエ=ナッサウ家)。このOranjeというのは、オランダ語で「オレンジ」を意味する言葉。だから、オランダの色はオレンジ色なのです。
この図案でちょっと変わった刺し方をするワンちゃんが1匹います。それは、オレンジ色のネッカチーフをつけたテリア。
テリアの毛並みの色を表現したかったのか、Mies Blochはこのワンちゃんに関してだけは 図案の中で特別な刺し方指定をしています。
オランダの運河でよく見かける白鳥もきちんと描かれています。
どこを切り取っても、ハーグの街並みが再現されていてとても素敵な作品だと思います。
かなり横長になるこの作品。今、我が家ではリビングかゲストルームに飾るかで迷っているのですが、廊下や階段の壁でもしっくりくるかも…と、検討中です。