ここには、彼女がオランダの12ヶ月をイメージした図案が並んでステッチされています。
今現在のオランダの月名と異なり、ここでのミース・ブロッホは昔オランダで使われていた古い月名を使っています。
今日は、この中から【11月】の場面をピックアップしたいと思います。
11月は、昔のオランダでは「Slachtmaand(スラクトュマーントュ)」と呼ばれていました。
slacht=屠殺 という意味なので、ちょっと物騒な感じのする月名ですね。
ただ、ここに描かれている11月の場面はとても愛らしいのです。
場面後方には人々がわさわさといて、手には何やらカラフルなものを持っています。前方にいる子どもたちも手に色々と持っています。
では、この11月の場面は何を描いたものかお分かりになりますでしょうか?
オランダに住んでいる人ならパッと見てすぐに「あぁ、あの行事ね」と分かるのですが、そうでない方にはちょっと難しいかもしれません。
では、正解を…。
ミース・ブロッホが11月に描いた場面は、毎年11月11日に行われるシントマールテンのお祭りです。
ただ、こう書いても、日本でピンとくる方は少ないと思います
11月11日はマールテンという聖人を追悼する日だということになっていますが、平たく言うと、オランダのシントマールテン祭の内容はハロウィンと似ています。
夕方から夜にかけて、ランタンを持った子どもたちが各家を周って、そこでシントマールテンの歌を歌って、お菓子や果物をもらう、という感じです。
ただ、子どもたちはハロウィンのような仮装はしません。
あと、諸々の事情で家に来てほしくない場合は、玄関先の外灯を消しておけば大丈夫です。子どもたちは外灯のついている家だけを訪問します。
11月11日、子どもたちは根野菜などで作った手作りランタンあるいは市販のランタンを持って、住宅街を歩いて周ります。
そして、各家の玄関先でシントマールテンの歌を歌って、そのお家の方たちからお菓子などをもらいます。
小さい子どもたちなので、必ず大人が何人も付き添います。
子どもがとても小さい場合、ランタンを用意するのは親。
上記の写真のように根野菜をランタンにする場合は、親は前日辺りからせっせと根野菜の中を繰り抜いて、そこにキャンドルを設置して…。それから、子どもたちが持ちやすいように色々と持ち手を工夫して…と、準備します。
11月11日は小さな子どもを持つ親はもちろん、そういう子どもたちを迎え入れる家々ではお菓子や果物を用意し…。
こんな感じで、子どもも大人も楽しめる行事になっています。
ユーチューブにいくつものシントマールテン祭の動画があるのですが、こちらが分かりやすいかなと思ったので、貼っておきます。
ついでに、こちらの動画も。
ミースさんもお子さんたちと一緒にこのシントマールテンのお祭りを楽しまれた思い出があるのでしょうね。