アンジェリーク

2017年3月24日

ハーダンガー刺繍のアンティークトレイ



先日の記事の中で触れたハーダンガー刺繍の新作。つい先程仕上がったので、無事に期日内に出版社へと配送できました。

これでやっと一息つけます。

こちらの作品はまだ公開できないのですが、作ったのはリングピロー。そのうちお披露目させていただこうと思っています。




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もうだいぶ前になりますが、デルフトのアンティーク市で見つけた木製トレイ。そこそこ大きめのトレイだし、はめ込んであるガラス板のお陰か、なかなかの重厚感。ハーダンガー刺繍を中に入れたら良い感じになるかしら?と思って、即買いしてしまいました。


確かイギリスのハーダンガー本だったか…。本に載っていたデザインを刺して、そのトレイの中に挟み込むと…。


こんな感じになりました。




中に入れるリネンはトレイより少しだけ大きめに裁断して、ガラス板の下に入れてしまえばいいので、周りの始末はなし。刺しっ放し状態です。

ただ、トレイの後ろ側は木製板を釘で打ち付けて留めるタイプ。なので、刺繍を中に挟み込んだ後のトレイへのはめ込み作業は、家族にヘルプを頼みました。




ハーダンガー刺繍をメインに自由刺繍で小花を散らした可愛らしいデザインです。




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2017年3月19日

ミース・ブロッホ作品から繋がったご縁! ミースさんのお身内の方にお会いしてきました♪



今は亡き、オランダを代表するクロスステッチ作家Mies Bloch(ミース・ブロッホ)。

今までにもこちらのブログでミース作品との出会いやその他諸々のことを書き綴ってきていますが、本日はその中で随一の出来事がありました。

なんと!

ミースさんのお子さん方のうちのお一人とご縁があり、今日はそちらのご自宅にお招き頂いたのです。


ミースさんのお身内の方とお会いできるなんて、もう大感激!!!


ミースさんのお子さん−サスキアさんご夫妻のお宅はとても素敵で、窓からの眺めも絶景!


こちらのご自宅にはミース本や作品は置いていないということでしたが、ミース図案が載っている1960年代雑誌を見せていただいたりして、とても楽しい時間を過ごしてきました。




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サスキアさんは、オランダの有名なテキスタイルデザイナー。帰りがけにはご自宅とは別にあるアトリエにもご案内下さったので、彼女の作品をたくさん堪能させていただきました。

その中には日本からインスピレーションを受けた作品もたくさん!

実はサスキアさんご夫妻は1990年代に日本に数年ほど住んでいらしたことがあって、とても日本がお好きなようです。今でも時々、日本へお出かけになるということで、何だか本当に不思議なご縁…♪

そうそう! 日本在住時にはたばこと塩の博物館で展覧会も開催されたということで、アトリエの壁にはその時のポスターもかけてありました。




オランダでももちろん展覧会を開催されていて、サスキアさんがその小冊子をくださったのですが、各作品に対する思い等が綴られていてなかなか興味深い内容でした。

こちらの小冊子の作品写真からも分かるように、サスキアさんの生み出すものは「いろんな素材の布を使って絵を描く」といった感じ。

お母さまであるミースさんと画家だったお父さまの才能をそれぞれ受け継いでいらっしゃるような印象を受けました。



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ただ、意外だったのが、サスキアさん自身は全くクロスステッチをされない、ということ。

でも、ミースさんの個々の図案全ての版権はサスキアさんとそのご兄弟が共同で持っていらっしゃるということで、お母さまであるミースさんの作品のことはよくご存知でした。



ちなみに、こちらのミース図案のマグカップ。
サスキアさんが戸棚から出してきて見せて下さったのですが…。

これは、ドイツの有名陶磁器メーカーがかつて販売していたもの。

でもでも!


実は、これらはミース図案を勝手に使用していた違法品だということで、サスキアさんたちは著作権侵害でその会社を訴えたことがあるそうです。

というわけで、このマグカップは今は幻…。

でも、こんなに素敵なので、こういうミース図案のマグカップが正規販売されるといいなぁと…思ったりもしました。





ちなみに、サスキアさんご兄弟が今までにミース図案の版権を貸し出したことがあるのは、OILILY(オイリリー)だけ、だそうです。かつてオイリリーで販売されたバッグにミースさんの図案が使われたのですが、これが本当に可愛い!


このバッグに関する記事は、こちらのブログに載っています。





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サスキアさんご夫妻と楽しい時間を過ごさせて頂いた後、帰りがけに「また近いうちにお会いしましょう」という言葉をかけていただきました。


ミースさんがお亡くなりになったのは、私がオランダに移住してくる一年前。直接お会いして色々とお話を伺いたかったなぁという思いもありますが、こうやってミースさんのお身内の方たちとのご縁があり、嬉しい限りです。


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2017年3月15日

ロット番号による刺繍糸の色違い


まだ公開できないのですが、ただ今 刺している「ハーダンガー刺繍作品」。提出〆切日が迫ってきているのに…、


ここに来て、まさかのまさかぁ!


あと少しで仕上がるのに、糸を全部使い切っちゃった!


実は、在庫があると思い込んでいた「12番糸のBlanc」が1玉も見当たらず…。もう泣きたい状況。




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この状況に陥ったのは、先週土曜日の夕方。

この12番糸を扱っているオランダの手芸店はどこも、日曜日と月曜日が閉店というのがお決まりなので、それなら!


と、大慌てて、ネットであちこちの手芸サイトをチェック。で、フランスのショップはすぐにいくつもヒットしたのですが、郵送日数に少々時間がかかるようで…。



なので、もうちょっと頑張ってオランダ国内のショップを探したら…。

わぁ〜い! ありました。




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でも、注文してネット振り込みも済ませて安心していたら…。

2日後に連絡があって、「すみません。在庫がありませんでした」



え〜!!!???
それってもう最悪…。2日間、無駄にしちゃったじゃないの〜!



でも、オランダではこんなことは当たり前にあることなので、すぐに気を取り直して、別のネットショップを探して注文。念のため、もう一店舗探して、そちらにも注文しておきました。




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で、今さっき無事に我が家に到着〜!
全て12番糸。白が眩しい〜!

ただ、「白」とは言え、ロット違いによって微妙に色が異なることがあるので、念のために「Blancを二つ、B5200を一つ」と注文してあったのですが、やはりそうしておいて正解でした。




写真だと分からないかもしれませんが、この二つは両方とも「Blanc」なのですが、奥のほうが微妙に黄色味を帯びている感じ。


今回届いた3つの中で、今刺している作品で使っている「白」に一番近い糸で続きを刺したいと思います。





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そうそう。このコットンパールの糸玉ですが、日本で購入すると、オランダやフランスで購入する価格の1/3程度。

DMC糸ってフランスなのに、なぜか日本で買うほうが断然お安いんです。なんで???
なので、私はDMC糸は一時帰国した時にいつも越前屋さんで大量買いをしています。(でも、リネンは断然ヨーロッパのほうがお買い得です。)

ちなみに、上記写真のコットンパール1玉あたりのオランダやフランスでの価格は…。日本円にして、700〜800円。(日本で買うと250円前後だったと思います)



ただ、オランダで手に入るコットンパールの糸で気に入っていることは、8番糸も12番糸も「25グラムのカセ」タイプがあること。
「玉」タイプのほうが糸の収納はしやすいのですが、この「カセ」タイプは「玉」に比べてかな〜りお得感のある価格です。


さて、無事に糸も手元に届いたことだし、今週末までにはハーダンガー作品を仕上げてしまいたいと思います。頑張ろうっ!


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2017年3月13日

オランダの春は、もう すぐ そこ!



オランダの3月。

真冬と違って太陽が顔を出す日は増えてきているのですが、まだまだ風は冷たく、外出時には必ずファー付きダウンコートとロングブーツ着用。

高緯度の国なので、寒いのです…。



でも、春の訪れを告げるクロッカスやスイセンが街中のいたるところで見られるようになり、気分は上々〜♪




今日は買い物ついでに、運河沿いを散歩してきました。こちらは、デンハーグ、デルフト、そしてロッテルダムをつなぐ大きな運河。
この運河をお散歩するのが大好き!

鴨や白鳥などの水鳥を目にしながら、のんびりと犬の散歩をする人と行き交ったり…。





この運河沿いを歩いている途中、こんな素敵な光景にも遭遇!
辺り一面クロッカスだらけ♪ もう本当に素敵な光景です。





デルフト旧市街でも、あちらこちらに春の訪れを感じる花々が増えてきています。






デルフト旧市街の普通の住宅が立ち並ぶストリートも、こんな感じ。




これから春を過ぎて夏へ向かうと、街はもっと花で溢れかえり…。


オランダ最大級の花の庭園「キューケンホフ公園」もそろそろ開園予定。

今年もまたたくさんのチューリップなどを見られるかと思うと、今からワクワク〜♪



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2017年3月10日

オランダ北部フリースラント州のクロスステッチ




こちらの作品は、「De Friese Knottedoek(デュ・フリーセ・クノッテデュック)」と呼ばれる布です。

オランダ北部フリースラント州独特の刺繍で、以前オランダ人刺繍作家さんのワークショップで直々に教わったものです。

ちなみに、こちらの刺繍作家さんは、オランダ王室関連の刺繍(例えば、王室の結婚式で使われる膝置きクッションなど)を請け負ったことがあるという凄腕の方。





De Friese Knottedoek」は、オランダの17世紀の刺繍。

男性が結婚の申し込み時にお金を包んで相手の家族に渡すために使われたリネンだそうです。なので、これを刺すのは大抵は男性の母親や姉妹だったということ。


上記のオランダ人刺繍作家さんのお話によると、「男性がこのリネンにお金を包んで相手の家に行き、相手の家族に受け取ってもらえれば婚約成立となります。が、受け取ってもらえないこともありました。」とのことでした。

ということは…。

もし受け取ってもらえなかったら…。

これを必死にチクチク刺した男性のお母さんや姉妹のガッカリ感は半端なかったことでしょうね、きっと。








さて、こちらのリネン。

ワークショップでは全ての材料が用意されていたのですが、そこにあったのは「40ctリネン赤い25番糸、そして真っ白なレース糸」。




まずは、白いレース糸で布の周囲をグルグルと何周にも渡ってステッチしていきます。


ほつれどめを兼ねたステッチですが、細かくカウントしながら刺していくので、なかなか根気のいる工程…。

思えば、この時が、後々の「40ctリネンでハーダンガー」を刺すきっかけになったような気もします。

ちなみに、リネンの四隅につけた巻玉は、ワークショップ後に家に戻ってから、8番糸で作ったものです。







リネンの周囲をすべて白糸でステッチしたら、次は25番刺繍糸の1本取りでクロスステッチ。

かなり細かいのですが、絵柄それぞれに意味があるそうです。例えば、ある柄は「夫婦で1歩1歩、階段を上っていく」とか、そういうような意味だとか…。






そして、飾り文字で彩られた文章部分は
オランダ語の古語詩。結婚に関する詩だそうです
このワークショップでは 古語詩の詳しい意味までは把握しきれなかったので、後日オランダ人の知人にこの意味を聞いてみました。

が、その返事は…。

「分からない。読めない。」

私たち一般的な日本人が、平安時代の文書を目の前にした時と同じような感覚なんでしょうね、きっと。







あと、こちらのワークショップでは、そのオランダ人刺繍作家さん作の房飾りを見せていただきました。

こちらの房飾りは、博物館に保存されている古いアンティーク刺繍を彩っていたものを、この作家さんが見様見真似で復元してみたものだそうです。

レース糸だけで作る房飾りですが、編み物でもない。刺繍でもない。そんな感じの作り方。道具として、ちょこっとだけ使うのはマッチ棒のみです。



で、ワークショップ内で作り方を教えていただいたのですが、いやぁ細かい。糸をたっぷり使うのですが、糸をどんなに使っても使っても房が出来上がらな〜い!


というわけで、絶賛放置中です…。


でも、これをリネンクロスの四隅に房としてつけると、とっても素敵なんですよ。

そのうち絶賛放置中を脱却したら、お披露目したいと思います。(って、できる日が来るかしら…?)




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2017年3月9日

ミース・ブロッホの図案「オランダの12ヶ月」

Mies Bloch(ミース・ブロッホ)の図案「12ヶ月」。

ここには、彼女がオランダの12ヶ月をイメージした図案が並んでステッチされています。


今現在のオランダの月名と異なり、ここでのミース・ブロッホは昔オランダで使われていた古い月名を使っています。






今日は、この中から【11月】の場面をピックアップしたいと思います。
11月は、昔のオランダでは「Slachtmaand(スラクトュマーントュ)」と呼ばれていました。

slacht=屠殺 という意味なので、ちょっと物騒な感じのする月名ですね。





ただ、ここに描かれている11月の場面はとても愛らしいのです。

場面後方には人々がわさわさといて、手には何やらカラフルなものを持っています。前方にいる子どもたちも手に色々と持っています。

では、この11月の場面は何を描いたものかお分かりになりますでしょうか?

オランダに住んでいる人ならパッと見てすぐに「あぁ、あの行事ね」と分かるのですが、そうでない方にはちょっと難しいかもしれません。





では、正解を…。







ミース・ブロッホが11月に描いた場面は、毎年11月11日に行われるシントマールテンのお祭りです。

ただ、こう書いても、日本でピンとくる方は少ないと思います




11月11日はマールテンという聖人を追悼する日だということになっていますが、平たく言うと、オランダのシントマールテン祭の内容はハロウィンと似ています。

夕方から夜にかけて、ランタンを持った子どもたちが各家を周って、そこでシントマールテンの歌を歌って、お菓子や果物をもらう、という感じです。

ただ、子どもたちはハロウィンのような仮装はしません。

あと、諸々の事情で家に来てほしくない場合は、玄関先の外灯を消しておけば大丈夫です。子どもたちは外灯のついている家だけを訪問します。






11月11日、子どもたちは根野菜などで作った手作りランタンあるいは市販のランタンを持って、住宅街を歩いて周ります。




そして、各家の玄関先でシントマールテンの歌を歌って、そのお家の方たちからお菓子などをもらいます。





小さい子どもたちなので、必ず大人が何人も付き添います。




子どもがとても小さい場合、ランタンを用意するのは親。

上記の写真のように根野菜をランタンにする場合は、親は前日辺りからせっせと根野菜の中を繰り抜いて、そこにキャンドルを設置して…。それから、子どもたちが持ちやすいように色々と持ち手を工夫して…と、準備します。





11月11日は小さな子どもを持つ親はもちろん、そういう子どもたちを迎え入れる家々ではお菓子や果物を用意し…。

こんな感じで、子どもも大人も楽しめる行事になっています。




ユーチューブにいくつものシントマールテン祭の動画があるのですが、こちらが分かりやすいかなと思ったので、貼っておきます。
この女の子たち、とっても上手にシントマールテンの歌を歌ってお菓子をもらっています。


ついでに、こちらの動画も。



ミースさんもお子さんたちと一緒にこのシントマールテンのお祭りを楽しまれた思い出があるのでしょうね。


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2017年3月8日

ドロンワークとクロスステッチで裁縫箱作り


ずっとベルギー話が続いていたので、そろそろまた刺繍の話を…。





こちらの作品は、数年前に刺したもの。全体のデザインはオリジナル。ドロンワークとクロスステッチで仕上げています。







使用した布は、28ct。
そこに1over1でクロスステッチを施しています。








こちらのクロスステッチデザインは、以前フランスの書店で見つけた本から。
イタリア人男性作家Renato Parolinによるクロスステッチ本です。

赤糸刺繍がとても素敵で、モチーフは鳥やウサギなど動物ばかり。



書店でこれを見つけてパラパラとページをめくった途端に、
赤の一色刺しが大好きな私のハートは一瞬で撃ち抜かれました。で、即買い〜。


やはりフランスの書店には、魅力的な刺繍本が豊富に置いてあります。







Renato Parolinの図案は全体的に華奢な雰囲気なので、こうやってドロンワークと合わせると、とてもしっくりとくる感じがします。


ちなみに、こちらの作品は最初にクロスステッチ部分を刺しました。その後、クロスステッチのサイズに合わせてドロンワークをデザインして、周りを彩っています。


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